アルコール依存症

アルコール依存性の歴史

人類とお酒の付き合いが長いぶん、アルコール依存性の歴史は深いです。イギリスやアメリカで、18世紀に蒸留酒の乱用で注目されたのをきっかけに法律で解決しようと動き出しました。そういった司法化の働きは、1919年アメリカで成立した「禁酒法」がその象徴です。ですが、やがて司法的な対処の限界が明らかとなり、医学的な対処が必要になり、「アルコールで問題を起こす」という事は医療化へ転換していきました。

日本は、その対処は非常に遅く、ごく最近まで酒類の消費量は増加するばかりでした。もともと日本ではアルコールに関して寛容だという文化があり、その経緯が飲酒問題をとりあげる妨げになっていたとも言えます。

アルコール依存性は、問題飲酒と正常飲酒の境界線の引き方についても見解が別れています。そのため、問題飲酒者の推定数にも大きな幅がありますが、相当数のアルコール依存性患者がいると考えられています。日本人は肝臓疾患による死亡率が高い事も分かっていて、その全てがアルコールによるものではないとしても、アルコールが与える影響は否定できず、決して小さな問題とは言えません。

そのアルコールに依存したらどうなるか?ということですが、それはアルコール依存性という病気です。何かに依存するという事は、その人に何かしら問題があると考えられてきて、実際に今現在もそう思っている人が多いと思われているのですが、依存性は病気だということが認知されています。

放っておくと心身に悪影響が出て、死に至る可能性がとても高い病気です。そしてアルコール依存性は簡単に薬を飲んで治る病気ではありません。精神的、社会的に深刻な影響をもたらすため、回復には時間を要します。ですから不治の病でもないのです。病気を正しく理解しながら治療しくことが大切です。

アルコール依存性とは

お酒もアルコール依存症患者にとっては依存性を持つ薬物と同じく、摂取することで問題を引き起こすものです。問題を引き起こすというと、本人も困るのでしょうが実際に困るのは周囲の人で、本人は飲むこと、酔う事が目的なのですから問題など二の次となるのです。時間や機会があって飲んでいるのではなく、あくまで飲むこと、酔う事ができれば良いといったところでしょうか、心身共に全力をかけてアルコールを求めるようになります

そんなアルコール依存症、初期症状としては本人も気が付かないところから始まります。お酒を飲み続けると誰だって依存症になるおそれはありますが、アルコールの持つ依存性で耐性というものが生まれ、一杯でポッと酔いが回る程度で終わっていたのに日々の飲酒で体がアルコールに慣れて何杯飲んでも物足りなくなる状態です。「お酒が強い」という言葉がありますがアルコール依存症患者と、そうでない人の差が、酔うまで飲み続けるところです。つまり、アルコール依存症患者は酔う事が目的であり耐性など欲しくもないのにできてしまったということです。

そして、お決まりの飲酒が原因の問題行動が出ます。人に絡む、暴言、暴力、前後不覚になるまで酔い潰れるなど尋常ではない行動を起こします。酔いが冷めてから「覚えていない」という人が殆どですが、中には暴れた記憶がしっかりあって、恥ずかしさと自責の念からまたアルコールを求める悪循環に陥ってしまうケースも少なくありません。本来なら自分の醜態を分かればここで目を覚ます事ができるのですが、醜態を晒す時点でアルコール依存症となっている場合があり、アルコール依存症となれば飲酒は止まりません。

依存症症状によりますが、体内からアルコール分が抜けた時に手の震え、発汗、吐き気、イライラ、不眠、焦りといった様々な症状が現れます。アルコール分が体内にある状態が普通と化し、抜けた時に異常と見なし起こる症状で、離脱症状といいます。ひどい時には鬱状態に陥ったり幻覚や幻聴といった深刻な事態へ発展します。それから離脱症状を抑えるのに飲酒が始まります。こうなると重症化しやすく、自力での断酒は困難になるのです。この時点で身体はアルコールで蝕まれています。『アルコールを求める』という症状を越し、アルコールを摂り過ぎた身体に負担がかかり、臓器障害の合併を引き起こしてしまいます。内科疾患、精神疾患と、まさに身も心もボロボロな状態となっていきます。

アルコール依存性の正体と現代

昔と違って明らかなのが、女性のアルコール依存性患者が増加していることです。これは女性の飲酒人口の増加に伴ったものと見られています。女性のアルコール依存性患者は男性のアルコール依存性患者の症状でよく見られる暴力や反社会的行動は少ないものの、短期間での重症化や性行動の異常が多く挙げられます

女性の場合、習慣的な飲酒をするようになると男性よりもアルコール依存性になりやすく、アルコールによる肝臓の病気にもかかりやすいとされています。その理由もはっきりとは分かっていませんが、男性と女性が同じ量を飲酒した場合、血中アルコール濃度は女性の方が高いのです。実際にアルコール依存性患者の死亡率は女性の方が高いそうです。

そしてもうひとつがアルコール依存性患者の若年化です。もともと若年者の飲酒に対する意識というのも、日本人はもう少し真剣に考えなくてはなりません。若年アルコール依存性患者の特徴として、精神的合併症が多いことが挙げられます。うつ病、薬物依存、摂食障害といった深刻な合併を起こす事が多いのです。この摂食障害は女性のアルコール依存性患者に多く見られるようです。こういった精神的合併症が、さらに回復を困難にさせます

社会的経験が乏しく、ストレスへの耐性も低いままの若年層と、男性よりも感情的にないやすい女性がアルコール依存性になりやすいというのも頷けます。しかしながら、成人男性であればアルコール依存性が軽く見られるというものでもありません。アルコール依存性は誰にでも起こり得る、死に至る可能性が非常に高い恐ろしい病気です。アルコールは通常飲酒で収まるのであれば問題はありませんが、異常な求め方をすれば依存性を持つ薬物です。嵐の中でも酒を買いに行く(酒じゃなかったら我慢できる)、などといった異常行動があれば早めに自覚して治療ができ、回復も早いのです。

アルコール依存性になると

アルコール依存性といえど、例えば依存性患者に相当な財産があって仕事などしなくても酒代に困らず、身の回りの面倒をみてくれる人が居て、その人にも充分な給料を払えていけて、さらに常にニコニコして上機嫌に酔っていれば何も問題はありません。ですがこういった事は非常に稀であって、周りの人だって「アルコール依存性患者」とは呼ばずに「お酒ばっかり飲んでる人」としか思わないでしょう。

たいていはアルコール依存性にかかると迷惑な問題を起こしてしまう事が多いのです。アルコールの影響で心も身体も悲鳴をあげている中、それでも酒を求めて気力も体力も使っているので周りへの配慮に欠ける行動を起こします。コントロールができない状態なのです。

依存性は悪化してくると、良くない性格傾向が高まります。例えば「短気、愚痴っぽい」といった、あまり強く出てほしくない性格が強く出たりします。こうしたことで人間関係が変化し、人格やその人の日常全体に影響が出てくるのです。こういった問題は本人だけとは限らず家族や恋人、友人にも起こり得る問題と言えます。

依存性患者と身近に接しているうちに悪影響を受け、精神的なダメージから間違った対人関係や意識を持ち始め、次第に消耗から心身共にボロボロになってしまう事もあります。このような事が起こる場合は、たいてい適切な処置を急がなかった事から始まるようです。

この人を自分さえ理解していれば。アルコール依存性になったのは、この人のせいではないのだから。そう言って間違った関わり方をし続けていた…というケースです。アルコール依存性患者を前にして、大切なのはアルコール依存性になる前の状態ではありません。この状態をどうやって改善させていくか。そこなのです。


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更新履歴

09月24日 アルコール依存症治療の施設を更新しました
07月27日 アルコール依存症の治療を更新しました
02月05日 女性ホルモンとの関係と治療を追加しました
12月21日 治療期間は一生を更新しました
12月05日 アルコール依存症チェックを更新しました